2、共同謀議は存在しなかった
仮に東京裁判が掲げた
「平和に対する罪」を前提としても
、「A級戦犯」が有罪とは言いがたい。
「平和に対する罪」は、具体的な起訴状のなかでは素因一にはじまり三十六もの訴因が挙げられているが、なかでもその中核をなすのは
訴因一の
「戦争に関する共同謀議」である。
しかし、例えば、
東京裁判が対象としている
昭和三年から昭和二十年の間に成立した
内閣は十七代を数えるが、田中義一内閣から浜口雄幸内閣への交代のように、反対党への政権交代すらあった。また、満州事変、支那事変、大東亜戦争の勃発時の内閣において、その
全てで閣僚だった人物は存在せず、さらに三つのうち二つの内閣で閣僚だった人物すら「A級戦犯」のなかにはいない。
継続した共同謀議などあり得ようはずがない。(続く)